※ネタバレあり
今年の夏は絶対にこれを読もうと思って7月に読み始めたのですが、半分くらいまで読んで怖くて放置してた。
けど、つい最近やっと読み終えました。
半分くらいまで読んだときは岩村先生が犯人だと信じて疑わなかった。
これからどうやって先生を追い詰めていくんだろうと思っていたら急な方向転換?
岩村先生なんて全然話題にならなくなった。
年の割にしっかり喋るからミカも生まれ変わりなんだろうということは結構すぐに感じたけど、ミチオと同い年くらいの女の子が死んじゃって、妹のミカ(人間)に生まれ変わったのかと思ってた。
トコお婆さんも不思議な存在だったから生まれ変わりなんだろうなと。
でも何に生まれ変わっているかまではわからず。
スミダさんは全く気づかなかったな。
お母さんがあんなひどい態度をとるなんてミチオは何をしてしまったのか想像がつかなかったけど、まさかミチオが火事だと嘘をついたことが原因でおなかの中にいたミカ(一ヶ月半)を流産していたとは…。
誰かの生まれ変わりだとしてもミカはミカ(人間)として存在していると思っていたから衝撃。
S君を食べたときに「あれ?ミカって人間じゃないの??」と思ったら、まさかのトカゲだった。
お母さんがミカとしていたのは人形で、ミチオがミカとしていたのはトカゲで。
二人とも妄想と現実の境目が分からなくなるくらい、現実逃避した自分の物語の中で生きてた。
「今まで読まされてたのはミチオの妄想かーい!」
ってまず思った。
読後感が悪い、スッキリしないみたいな感想をよく見かけていたけど、私は逆にスッキリというか「妄想かーい!笑」って感じだった。
大どんでん返しというか、ちょっとずつ視点をずらされてて気づいたら違う方を向いてた!みたいな感覚。
岩村先生が犯人だと思ってた時はめちゃくちゃ恐怖を感じてたんですよ!
でも最後のほうは、登場人物みんなちょっとヘンだったから「あ、そういうことだったの?」みたいに納得しながら冷静に読めた。
そもそもS君って存在してたのかな?
S君とミチオは同一人物というか、ミチオが自分を客観的に見た姿がS君みたいな感じなのかな?
ミチオのフルネームは摩耶道夫だけど、ミチオ(道尾)、S君(秀介)っていうことなのかなって思うと同一人物というか、一人二役というか。
いくら演劇会が嫌だからってミチオがS君に対して「死んでくれない?」って言えたのが不思議でしょうがなかったのだけどミチオはS君で、S君はミチオって思ったら私的には腑に落ちる。
そう思った理由はS君が最初から岩村先生の秘密を示唆するような発言をしていて、岩村先生の家に忍び込んだけど、そのあと急に岩村先生が犯人候補として登場しなくなったのは、読み終わってから考えてみると被害にあっていたのはミチオで最初は岩村先生を捕まえてほしいって思っていたけど家宅捜索されて自分のビデオが見つかるのは困るって思ったから犯人候補じゃなくなったのかなと。
物語のほとんどはミチオの妄想だけど、岩村先生のしてたことは妄想ではない気がする。
S君のお母さんには美津江という名前があるので、美津江の存在も妄想ではなさそうですよね。
だから名前はわからないけど、美津江には学校でいじめられていたミチオと同級生の息子がいて、その子が自殺してしまったっていうところは妄想ではなさそう。
その子の死体を見つけてしまっただけならここまで妄想しなかっただろうけど、死体が消えてしまったことによって自分が嘘つきではないと証明するためにS君が蜘蛛に生まれ変わって死体を探して欲しいと頼まれた妄想につながったのかなと思った。
嘘はミチオにとってトラウマだからね。
S君を「嘘つき!」って言って責めてるのは自分に「嘘つき!」って言って自分を責めてるような気がしたし。
犬猫ももしかしてミチオ?と一瞬思ったけど、そうすると泰造が美津江の息子から受け取った10枚目の地図はどう説明すればいいのかわからなかったから、たぶん違うと思うことにした。
けどミチオ一人でやっていたのではなく、美津江の息子と共犯だったのかなという気もする。
あえてS君ではなく美津江の息子って言い方をするけど、もし共犯だったらミチオも残酷なことをすることに抵抗がないし、「死んでくれない?」って言ったのは妄想ではなく本当だったのかな?
ミチオのひと言で本当に死んじゃったから自分のしたことがバレない様に殺人事件として処理されるように犯人が必要だったということか?
ミカが生まれる前の生活がわからないけど、ミチオは兄弟が出来るのが嫌でお母さんに危害を加えるつもりで嘘をついたんじゃないかなと思ったりもするんだよな。
自分のついた嘘のせいで妹を失ってしまった悲しみから妄想をするようになったのかと思ったけど、元々、妄想癖があって兄弟が出来ることは自分の物語に都合が悪いから生まれてこれないようにしたのかなっていう気もする。
でも生まれてくるのが女の子だったかもしれないと聞いて、急にワクワクしてきたから最後に見た写真にそっくりのトカゲを妹として可愛がっていたのかな。
嘘をついて起こった悲劇によるトラウマからの妄想と考えるより、元から猟奇的って考えた方がしっくりくるけど、どうなんだろう?
元から猟奇的だったら自分で物語を終わらせた後、大人になるまで何も事件を起こさずにいるのは難しい気もするから、やっぱりトラウマからくるものなのだろうか。
こうやっていろいろ考えてしまうのが面白い。
ミチオにとっては都合が悪いかもしれないけど、岩村先生の件は妄想ではないと思うし、スミダさんを轢いたのも岩村先生だと思うので後々ちゃんと捕まっていることを願う!
好き嫌いがかなり分かれるそうですが、私は嫌いじゃないです。
好きというのはなんか違う、嫌いじゃない。


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